Riesling S (リースリング・エス)
粘板岩土壌の急斜面で収穫されたトロッケンワインの新称号
 モーゼル・ザール・ルーヴァーの急斜面で収穫された特別な品質のトロッケン(辛口)ワインに、新しく『Riesling S』の称号が登場します。世界的に賞賛さてれいる、粘板岩土壌の急斜面で収穫された最高のハーモニーを持つ、リースリング・トロッケンワインに与えられる新称号です。

 厳しい品質管理に基づき、農業会議所の公認ワイン審査官による審査に合格したワインにのみ、この共通称号「S」が与えられます。モーゼル・ザール・ルーヴァーワイン生産者協会は、この新称号「s」を商標登録し、特許局に特許を出願しました。
協会は、厳しい品質条件を満たしたモーゼル・ザール・ルーヴァー地域の生産者または瓶詰め業者が生産した、急斜面リースリング・トロッケンワインにのみ、この共通称号「S」の使用許可を与えます。
 モーゼル・ザール・ルーヴァーのフルーティーでバランスの良い甘口のリースリングワインは、昔から世界中で最も高い評価を得ていますが、辛口リースリングワインの素晴らしさも知っていただけるよう、この共通称号「S」を採用したのです。
 この辛口リースリングワインは、フルーティーな香りと豊富なミネラルによって、多くのワイン専門家から高い評価を得ています。肉や魚、野菜など、どのような料理と組み合わさっても調和するデリケートな味わいこそ、リースリング・トロッケンワインの特徴と言えます。
 この共通称号「S」を採用するまで、多くの専門家達が長期にわたって討議し、テイスティングを重ね、急斜面で収穫された特別な品質のリースリング特有の、バランスの良いトロッケン・ワインという条件を厳しく適用する事を定めました。
モーゼル・ザール・ルーヴァーのリースリングワインは、昔から白ワインの最高峰として世界中で高い評価を得てきました。しかし残念ながら、消費者のみならず、一部の専門家までもが、モーゼル・ザール・ルーヴァーのリースリングワインは、高級な甘口ワインの代名詞と思い込んでいるケースが未だに見受けられます。
 これは、アイスヴァインやトロッケンベーレンアウスレーゼなどの名声から生まれた誤解で、モーゼル・ザール・ルーヴァー地域では、昔から辛口の最高級ワインを生産して来ました。

 近年、ドイツ国内はもとより、世界中で赤ワインや辛口でコクのあるフルーティーな白ワインが特に人気を得ています。ワインマーケティングの専門家の間では、アロマとフルーティーな味わいの白ワインこそ、今後の主流であるとされています。
 急斜面のモーゼル・リースリングワインこそ、この条件を満たす最高の白ワインであると言えます。モーゼル・ザール・ルーヴァー地域では、昔から辛口でコクのある、しかもフルーティーな味と香りが、バランスよく酸味と調和したリースリングワインが造られてきました。しかも、粘板岩による豊富なミネラルを含む、モーゼル・ザール・ルーヴァー独特の品質は、絶対に他の地域の追随を許しません。
 このような事実を踏まえて、モーゼル・ザール・ルーヴァーワイン生産者協会及びワイン広報協会は、「リースリング S」プロジェクトのために、学識経験者、農業会議所、ラインラント・ファルツ州、経済、運輸、農業、ワイン産業省、などからなるストラテジーチームを結成しました。特にラインラント・ファルツ州やガイゼンハイムワイン研究所の醸造学者、ブドウ栽培顧問、マーケティング専門家が中心となってプロジェクトを推進したのです。
 その結果、リースリング・Sのマークの下に、特有の優れたプロフィールを規定し、世界中にアピールする事になったのです。
チームは農業会議所かじめ、他の中立なテースティング期間によって高く評価された、モーゼル・ザール・ルーヴァー地域特有の急斜面で栽培されたトロッケン・リースリングの中から、モデルワインを選定しました。

                   リースリング・Sのモデルワインとして選ばれたワインは、全て次のような共通点があります
                         1. 収穫時、遅摘みのぶどうのみを選定して収穫。(主に11月)
                         2. 充分に熟成したぶどうのみを選定して収穫。
                         3. 特に高品質のため、収穫量は少ない。
                         4. 収穫後の手厚い処理。
                         5. 長期間の醗酵(安定した温度管理)
                         6. 長期間の酵母入り熟成。

 テースティングの解析結果から、チームはリースリング・S の、醸造学上の推薦基準を策定しました。同様に、チームはブドウ栽培やマーケティングに関しても推薦基準を策定し、しかも、この作業には栽培者達も参加させることによって、完璧を期したのです。
 リースリング・Sは、主として自家醸造ワイン生産者によって市場に供給され、顧客との直接コンタクトによって認知され、販売されるでしょう。
モーゼル・ザール・ルーヴァー地域では、伝統的な手造りワインを生産する家族単位の個性的な小規模ワイナリーが多いため、エチケットを統一する事は不可能です。そのため、統一したマークを選定し、各々のエチケットに印刷する事にし、コンペによってRiesling・Sのマークが選ばれました。
Riesling・Sのマークは、必ずボトル表のエチケットに印刷されますが、ボトルの裏ラベル、または、ボトルネックに下げる飾りで、リースリング・Sの特徴を説明する事は、生産者も判断にゆだねる事になりました。
                    Riesling S のマークの「S」の意味
                                   1. Schieferboden   : 粘板岩の土壌。
                                   2. Steilhang      : 急斜面のぶどう園
                                   3. S-Klasse      : 最高の醸造技術
                                   4. Super Premium : 特に選ばれた高品質
 Riesling S のマークの使用を望む生産者は、必ずトリアー市のモーゼル・ザール・ルーヴァー生産者協会で申請手続きを行わなければなりません。使用許可を得るためには、リースリング・Sの規定を厳守すると共に、ラインラント・ファルツ州農業会議所における、テースティング試験に合格しなければなりません。このテースティング試験は、通常行われているクヴァリテーツヴァインの審査と同時に行う事が出来ます。
 Riesling S のマークは(シュペートレーゼやアウスレーゼなどの)プレディカート表示と同時に使われることは無く、あくまで単独で表示されますが、既に瓶詰めを終え、プレディカート試験も合格済みの2002年及び2003年のワインに限り、過渡的措置として、Riesling S のマークと同時表示も認められます。
 しかし、2003年のワインでRiesling S の使用許可を得た生産者も、既に出荷済みのケースが多いため、Riesling S が表示されたワインが本格的に出回るのは2004年以降になります。
 現在、ラインラント・ファルツ州、経済、運輸、農業、ワイン産業省は、Riesling S のマークを公的な品質保証マークとして承認するための条例を準備中です。
Riesling S マーク使用規定および、申請手続き等に関しましては、モーゼル・ザール・ルーヴァーワイン生産者協会担当の、プファイファー女子にお問い合わせください。
モーゼル・ザール・ルーヴァーワイン生産者協会 資料より